ルアーフェスタ福岡 その4(完結)


お二人への挨拶を終えた店内に、まだ私はいた。
この二人を待ちわびた人は私たちだけではない。いつまでもこんな格好でブースを占拠するわけにはいかないのだ。
少し離れて他のブースを見たりする。

そして、私は今回のイベントの中でもう一つ楽しみにしていたものがある。
それが、Teckel(テッケル)のフロッグ「カラーミー」の色塗り体験。
自分の好きな色で、自分の好きなデザインのフロッグを作ることができるというイベントだ。
このイベントをはじめて知った時から、もうやりたくてやりたくてしょうがなかった。

幸いにも今回のイベントにはTeckelも出展しており、このイベントをやっている。

これはもう是非ともやるしかない。
やはり色塗りに興味があるFlameとともに色塗り体験を行うこととなった。
SHINGOは不器用だからなのだろうか、この体験の誘いを断った。
ヤジも断った。たぶんパチンコで大負けしているからだろう。私は無理強いせず、そっと彼の肩をたたいた。

泣いた涙の数だけ、人は優しく、そして強くなれる。頑張れ、ヤジ。
 
テッケルブースでは、親子連れの方がペイントをしていた。その可愛らしい風景をほんわかしながら見ながら、私は順番を待つことにした。

今回の探訪でチェックしたかったノースフォーク・コンポジットのJPR65L。
Lという表記ながら張りのある感じ。
しかしベントがかかった瞬間からの粘りがすごい。
トップウォーターなど、ティップ操作をするためのロッドなのだろうけど、タックルが制限される狭いフロートボートの中で、ある程度の汎用性をカバーできる1本を探していた私には、ものすごく琴線に触れるフィーリング。
塚本さんから話を聞き、その口から聞きたかった言葉が出てきたことで、私の購入欲はマックスに達しようとしていた。


クランクしか愛せない、クランクでしかイケないクランクバカ・ごくよんも来場。
相変わらずの変態ちっくで偏執的クランク愛を長々と聞かされた。


さあ、ここで前回に掲載した写真で私の身体の向きを確認してみよう。




常に痴虫、KTW/mibroブースの方を向いている私。
Teckelのカラーミー体験待ちをしている間も常にこの方向を保っていた。
私の顔面と視線、そして身体の向きははつねに痴虫、KTW/mibroブースを中心に左右90度の中で推移していた。
塚本さんの瞳しか見ていない自分がそこにはいた。

私の背中側に位置する商品陳列コーナーの方に身体も向けてなければ、見てもいない。
ヒマになったので商品を見て回りたかったのだが、行けなかった…






そう、まだ私には免疫が出来ていなかったのだ。

コスプレによる「周囲の視線」という免疫が。


Flameねーさんは、過去よりコスプレ経験があり、いわゆるバ○ガールみたいなのとかサンタコスプレとかやってたことあるようなので全然楽勝であったらしい。さすが若い頃はイケイケであったFlameねーさんらしい逸話である。
叩けばホコリg…げっほげっほうぉっふ


対して私は人生の折り返し地点を過てるレベルで初コスプレ。
柔道でいえば、茶帯にも達していない白帯レベルである。

加えてこの日の春のうららかさという表現を超えた温かさ、いや暑さである。

視線と温度、そして着ぐるみの生地の厚さ…


ああ…したたる汗を感じるよままん。

サウナに入っている時の汗の流れが、Tシャツの中で感じるこの不快。


周囲の視線を確認できないチキンな私がそこにはいた。



手持ちぶさたな時間となんとなくの居心地の悪さを感じて、意を決して店外にタバコを吸いに出かけた。
なお、レジ横を通って店外に出るまでの間、私は基本下を向いたまま移動しているという、やはりここでもチキン振りを発揮していたことを付け加えておこう。

そこには3人の方が談笑してタバコを吸っていた。
その盛り上がっている3人の方の横におじゃまして、私もタバコを取り出した。

私の姿を見た瞬間、その談笑は急に消え、前を通行する車の流れの音だけとなった。

彼らに45度の角度で背を向け、私はタバコに火を付けた。

ぶぉーーーー

車の音だけである。

彼らの会話は消えた。

無論、私に話しかけてくれるはずもない。

ここにいてごめんなさい、会話を途切れさせてごめんなさい。異物混入でごめんなさい。

様々な思いを胸に、私は紫煙を横隔膜まで吸い込むように気を落ち着かせる。

紫煙を吐き出す間も、そこは静寂であった。

弄ってくれたら楽なのに。むしろ貶してくれてもいいのに。

私が45度の角度を保っているのは、いつでもあなた方の質問に振り向けるようにするためなのに。

「なんでそんな格好なんすか?」
「暑くないんすか?」
「気合いはいってますよね?」
「よーやりますね」
「ってかウザイんすよ」

そんな言葉にすぐさま対応するための45度なのに。

やはりそこは静寂だけであった。

いたたまれなくなった私は、普段は根本まで吸うであろうタバコを半分だけ燃焼させただけでもみ消し、また店内へと戻った。



deps・奥村社長がブログで書いていたが、関西だと弄られるようなことでも、九州ではスルーされるらしい。
思い起こせば確かにそういうところがあるかもしれない。ってか、私だってこんな着ぐるみのおっさん見たらスルーするかもしれない。
これを関西でやってたらみんな弄ってくれたのだろうか。
関西だったら楽だったのだろうか。

ああ、これが痴虫・松本光弘が見る世界なのか…
コスプレをすることで、痴虫・松本光弘の生き方、世界に触れられると思っていたが、そんな生やさしいものではなかった。

しかも初コスプレというとてつもなくレベルが低い私にとって、このアウェイの地は険しすぎたのだ。
大観衆の埼玉スタジアム2002で浦和レッズサポーターの怒号を背に守る相手ゴールキーパーというのは、こういう孤高の気持ちなのかもしれない。


そんな思いをしつつ店内に戻った私は、ヤジとSHINGOのそばからぴったりと離れなかった。


それにしても暑い。
したたり落ちる汗は、決して暑さが理由ではないけれど、気付けば唇カッサカサ。ヤバイくらいにカッサカサ。
口の中もカッサカサ。きなこ食べて全ての口内の水分が持って行かれたような感じである。
本来は、Teckelブースでこの格好のままカエル塗り塗りしたかったのだが、さすがに暑い。ついにコスプレを脱ぐことにした。


コスプレを脱ぎ、席の空いたTeckelブースへと戻った。
Teckelの前田さんは、先ほどまでのふざけた格好を脱いだ私を見て「おお、誰かと思った」


Teckelの前田さんからカラーミーの塗料の説明を受ける私とFlame。
学校一のコワモテ生徒指導先生に、生徒指導室に呼び出されて怒られている生徒と、呼び出されたお母さんの図では決してない。

いよいよフロッグの色塗り体験。

塗るのは比較的簡単。
このように綿棒を使って、好みの色を塗っていくだけ。
塗料はすぐに乾くので、小さいお子様でも楽しんで作ることができる。
実際、親子連れの方等の体験も多かったようだ。


デザイナーとして、普段は色を扱う仕事をしてはいるものの、塗ったり描いたりするのは極めて専門外。
しかも立体物への描画なんてやったこともない。
やりたいとは思っていたものの、どういうデザインにするか考えないままだったので(そもそもこの日の仕込み準備で大忙しでデザインまで頭になかった)、まずはこの日の午前中にイヤと言うほど視界の中に現れていたブルーバックチャートをアシンメトリー(左右非対称)のデザインで作ってみることにした。


もう夢中になって塗っていると、ちょっと手が空いた痴虫さんも参戦。
私なんか、どう塗ろうかと手間取りながらなのに、さすがビルダーらしい潔くすいすいと描いていく。


そしてルアービルダーの目を一瞬だけ間近で見ることもできた。


私も塗っている間はもう無心。
楽しくって仕方が無い。
塗料は素材に染みこんでいく性質があるので、染みこむということは色が沈んでいくということ。色の重なり具合、しみこみ具合というのがどの程度なのかが分からないので、なかなか思った通りに出来ないが、とにかく楽しい。


こうして出来上がった、私のカエル。

「毒ガエル」(Flame談)
「お腹を壊さない程度の毒のあるカエル」(Teckel前田氏談)
「なんこれ?」(SHINGO談)
「……」(ヤジ談)
「(アシンメトリーの)意味ないっしょ」(ごくよん談)

誰もほめてくれない。
っていうか、ブルーバックチャート目指していたのに、なぜか青でなくて赤塗ってるってどーゆーことですか。
緑に赤とか普段の仕事なら絶対に使わない配色なのに、なぜこういう配色にしてしまったのか、自分でも意味不明です。


そして横で塗っていたFlame作のカエル。
桜餅とか春のイメージで塗られたもの。女性らしい華やかな色彩です。


今回同行ではなかったが、翌日にカラーミー体験を行ったカエル大好きゆうし作。
ラパラのパーチカラーを模した作品。
ルアーカラーを模した作品もかっちょいい。


さて、この三者三様のカエル。
ゆうしの作品は、前田さんが撮影されTeckelのfacebookページで紹介されていた。
Flameねーさんの作品はやはり前田さんが撮影されイベントの模様の一部としてやはり紹介されていた。
私の作品は…撮影すらされなかった。

ゆうし→入賞作品
Flameねーさん→ノミネート
私→書類選考で落選

って感じだろか…

正直、雪辱戦をやりたかったが時間もないことだし断念。
いや、雪辱戦というよりも、この作業自体が楽しくて楽しくて、もう一個作りたかったというのが本音。
そして出来上がるのが、自分だけのオリジナルのカエル(腹壊さない程度の毒はあるものの)。これを実際のフィールドで使うのが楽しみでもある。


そして私の横でカエルを塗り塗りしていた痴虫作の迷彩カエル。
これは、大阪のCandyrimさんで発売された小さい海馬のオリジナルカラーと同じデザイン。
実は、FlameがこのCandyrimさんで発売された海馬3シリーズを購入していたため、これと同じカラーをその場で作ってFlameにプレゼントしてくれたのだ。
なんとも憎い演出!

おそらく、この演出がなかったらこの海馬55はKNBの賞品になっていたはずだ。
しかし、こういうオリジナルフロッグをいただいた以上、この海馬55をFlameが手放すはずはない。
すでにSold Outしており、私がこの海馬55を手にするチャンスはゼロになった。


ハニスポの今回のイベントの目的は塚本、痴虫両氏に会いに行くのが主目的だったが、このカラーミーイベントが最も楽しかった。
また機会があったら是非再挑戦したい。



このカエルの塗り塗りは、私のほうが先に終わり、Flameねーさんが終了するのを待っていたのだが…。
私の背後には先ほど見ていたNorth ForkのJPR65Lが立てかけてある。
その屹立した姿が私に訴えかけている。

「僕と契約してノースフォークユーザーになってよ」と



気がつけば購入。



そしてせっかくなので、このロッドの開発・リリースに携わったお二人に「入魂の儀」をお願いする。
「何してもいいから、もー好きにしちゃってください」状態。
こうしてグリップに二人の魂が注入された。
ルアーを知り、バスを知り、釣りを知る、お二人の気持ちが入魂された瞬間である。

それではご覧頂こう。North Fork Compositesが贈る、ジャーキング&プラッキングロッド「JPR65L」をっ!



二人のサインの熱意が宿ったこのロッド、私の新たな戦友となったこのロッドに今みなさんが感じた思いをそのまま命名することとした。

North Fork Composites JPR65L
命名「すね毛」



こうして終わったルアーフェスタ福岡探訪。
4人で合計10万円以上を財布を軽くして店を出た。
なんだかんだでヤジも2万以上のルアーを買ってた。
彼の今後の生活が心配だ。

帰りの車中では、前日の徹夜の影響でこと切れて爆睡。
帰ってからも爆睡。
とはいえ、午前も午後も濃密な時間を過ごすことができた。

岡本さん、塚本さん、痴虫さん、本当にお世話になりました。


また、こんな格好での来場で、それまでお話ししていたお客さんには、その大切な会話のお時間を止めてしまったり、中断させてしまったかもしれません。だとしたら本当に申し訳ないです。

しかし、楽しいイベントでした。
また機会があれば是非行きたいイベントです。





しかし…問題もまた残された…
痴虫氏に初めて会った際には「りまらば」を渡した。
今回はフルコスプレで挑んだ。
彼らの度肝を抜くためには、三回目には…いったい何をすればいいのだろう?
もうすでに出尽くした感バリバリである。
あとはもう全裸ぐらいしか思いつかない←入店拒否どころか通報レベル

その次の機会がある前に、私は今回のような醜態をさらすことのないように、まずはホームで修行をしなければならない。
あの生温かい視線に耐えられる度胸、スルーされる空気に耐えられる心臓を作る。

俺達の戦いはまだはじまったばかりだ!!


KNBウィークリートーナメント第1戦にて

 

ハニスポJAMでの頂きものなど


痴虫ティッシュ
名古屋で行われたキープキャストでも配られていた痴虫ティッシュ。
たかだかティッシュなのに、このイラストとデザインが私にはツボすぎて、ずっと欲しかったもの。
「たかがティッシュ」をこれほどまでに付加価値を高める痴虫デザインはさすが。
キープキャストで配布されたものは、スキルフルの岡本さんからお土産でいただけたので、ちょっとだけ名古屋に行けた気分になった。
(写真中のボサ犬は文中と関係がありません)


ちむしきし
昨年9月のイベントの際にアップされていた色紙がもうアートすぎて羨ましくて(うらやましがってばかり)、次の機会では是非なんか書いていただきたいっと思っていたもの。
ビルダーとしてもだが、アーティストとしての部分に惹かれてるので、半年の歳月を経て(意外と早くw)念願が叶った。
コスプレで最もインパクトを与えた「沼海馬」な色紙である。
さっそく仕事場のディスプレイの前に貼らせてもらった。


右が私が塗り塗りしたTeckel Color me!
そして左は…痴虫作オリジナルColor me!

この日、痴虫ブースに展示販売してあった招き猫をデザインしてプレゼントしてくれた!
とはいえ親しくしていただいているとしても、あくまでもビルダーと客の関係なので、申し訳ない気持ちでいっぱい。
(釣り関係の交流の中で、KNBとして大会協賛用賞品を頂くことはあっても、個人的に何かをいただくのはお断りしているのですが、今回はTeckelさんのフロッグに描いていただいたものだったので、そのご厚意にべったりべっとりと甘えさせて頂きました)
次はJPR65Lで使う海馬55をゲットして、この恩に報いたいと思いまする。

今年はまず、この2匹のフロッグでバスをかけることが大目標。昨年夏からふつふつと戻ってきたカエル熱が今年の夏は爆発しそう。


なお、今回の模様は、痴虫氏のWebラジオ「デジオ虫の声」Vol184前編でもけっこうな時間を割いて語られています。
18分ぐらいには、ゲストの塚本謙太郎氏より今回のコスプレについての叱責を受けておりますw
乱入した側と乱入された側、それぞれの目線的な違いをお楽しみ頂けたらと思います。

 

今回最も衝撃的だったこと

Teckelの前田さんが、私よりも3つぐらい年下だと判明したこと。
私よりもおっさんだと思っていたのに、私のほうがおっさんでした。

今回お世話になった皆さんのサイト

Skillful(スキルフル)
KTW/mibro
North Fork Composites
Teckel
痴虫
 
コメント

久しぶりの超大作、楽しませていただきました。

おっさんが書いた文章のはずなのに、遠足の感想文のように感じるのは、私だけでしょうか?(笑)

思い出があふれ出している感じは、「大変よくできました」です!!

  • DEN
  • 2015/04/09 20:36

この執筆のあと、痴虫さんから「パッケージに載ってるルアーはカイバードじゃねぇよ」と指摘を受け、よくよく見てみると単なるアヒルの置物だったことが判明。全然違うのに、なんで気がつかなかったのだろう。なんで分からなかったのだろうって感じですw
今のところ、誰からも怒られてない(表向きは)し、当人にも喜んでいただけたので良かったですが、「どこまでだったらOKなんだろう?」「どこまでやったら怒られるんだろう?」という限界点を完全に見失ったままの行軍でしたw

  • りま
  • 2015/04/14 00:32