栄光と関係の無い奴が栄光を妨げる〜KNBペアトーナメント第2戦〜

KNB2017年レギュラーシーズンの最終戦、ペアトーナメント第2戦。

抽選で決定したペアの合計釣果によって順位が争われ、その順位点はシリーズランキングにも、そして総合ランキングにも反映される。

ホゲったとしても優勝する可能性もあるし、足を引っ張られることもある。

全然苦労しないまま相方の釣果次第でクラシックの出場権利まで獲得できることもある。

 

こんな運任せの大会が、年間総合優勝を決める最終戦に組み込まれているのが、なんともKNBらしい。

 

 

 

私はマスターズシリーズランキングで5位に入り、クラシックの権利は獲得済みだが、総合ランキングの方は序盤の上位争いから2戦連続でホゲちらかしてしまって大きく後退。

何の影響もないため、ランキング的には完全な消化試合の大会である。

 

しかし抽選で決まった相方は、現在総合暫定トップのテラリョーマー師匠。

自分の順位が大きく変わることはないが、これはもう師匠の初AOYをアシストしてやらねばならない。

 

減水した萩尾。パターンは前回釣行で掴めている。すなわちディープフラットでのリアクションの釣りだ。

確実に一回り違いサイズをキャッチできるはずだ。

 

勝てる。師匠は確実にAOYの栄光の座につく。

 

この日までに蓄積された情報と知識は、すぐに結果を与えた。

通称「ワンルームマンション」と呼ぶポイントでファーストフィッシュ。

ワンルームという呼び名どおり、お一人さましか入居していないのか一本しか釣れないので、次の入居があるまでに時間をおかねばならないが。

 

お師匠さんもすぐにキャッチ。1時間も経たずに3本のリミットメイクを達成。

あとはサイズを上げていく作業だけである。

 

プラでの感触から、優勝するためには1500gが必要と考えていた。そして暫定年間首位のりょうまがこの順位を維持するためには、今日の順位は2位か3位。すなわち1400g台が必要なはず。

 

りょうまはダウンショットで手堅く数をキャッチ。そして私はダブルウィップのキャロでのリアクションで、ややいいサイズをキャッチするという青写真通りの展開となった。

 

ここまでリミット揃って1200gほど。さらなる上積みが必要となる。

ここでりょうまはダウンショットからノリーズ・ディーパーレンジをチョイス。

「りまさんはそのままやっていて下さい」と一人だけ巻いて楽しもうとしていやがる。

 

自分だけ巻こうなんてムシが良すぎるやしませんか。

というわけで私も「5分だけ夢を見させて」と、萩尾のバスにはやや荷が重いかもだが、NLWデカビーツァをチョイス。

 

すると一投目でブレードにアタックするようなバイト。

次のキャストでゴツンのヒット。

これが500g。この日の最大魚。

見事に入れ替え成功。なんだ!デカビーツァに食ってくるなんて萩尾のバスもヤル気マンマンじゃないか!

 

この後、りょうまもディーパーレンジで狙い通りに500gをキャッチ。

500g、500g、430gで計1430g。

周囲の状況を見ても、確実に優勝が狙える位置まで来た。

 

唯一、北ワンドの倒木エリアから離れていないという、よしも&マコトペアの動向が見えないが、それでも2位を確保した状況はほぼ確実。

りょうまのAOYはもう目前まで来ていた。

 

B7Deepでもこんなんきたり。

 

もうウハウハな展開。

 

 

そして帰着時間となった。

 

あまりの釣れすぎで、数gの差で釣れるもんだからデジタルスケールが大活躍。入れ替えがめんどくさくなってきたので、帰着時にはライブウェルに5本のバスを入れていた。

500g×2本は確定。その後スケールで計った430gのバスを確認して残りの2本はリリースした。

 

「これはもうAOYは確実だね」そう、りょうまに言った記憶がある。

 

ただ、この最後の一本はフックが飲まれたままになっていたので、帰着前にフックを外すことになる。

「りまさん、フック外しておいてください。帰着申請してきますんで」

 

そう、りょうまは言い残して岸へと上がっていった。目前にまで迫った栄光に、足取りも軽やかだ。

 

私はオエオエ棒を使って飲まれたフックを外す作業。

すんなり外れたが、若干流血してしまったため、血を洗い流す作業に移る。

 

ボートの外にバスを出し、湖面にバスを付け血を洗い流した。

 

この時、手に持ったバスが暴れた。

ふいに暴れたバスの動きを、私の握力はそれをホールドすることができなかった。

 

「ああああぁぁっ!」という私の悲鳴と波紋とともにバスは消えた。

 

ライブウェルにキープしていた5本のバスはすでに計量して2本をリリース済み。検量に持って行く3本きっかりだけだったのに。

 

 

3−1=2

 

 

周囲は大爆笑。

私は動揺。

 

逃がしてしまったのは私が釣った魚。とはいえこれはペア戦。自分の成績はともかく、AOYのかかったりょうまの成績までもを左右する大失態。

 

そんな悲劇を知る由もなく、りょうまは帰着申告の最中。

きっと心は晴れやかだったろう。胸を張っての申告だったろう。

 

そんな彼がボートに戻ってきた。

にこやかな顔が私の顔を見た瞬間、不思議そうな顔になったのを覚えている。

 

「ごめん!一匹逃がした!」

 

私は手を合わせて謝った。

 

 

 

基本、りょうまが私に話しかける時は終始敬語である。

普段の会話でも、弄る時でも、敬語の枠を出ることはない。

 

そんな彼がこの状況で発した言葉も敬語だった。

しかし、今までのどの言葉よりも突き刺さる、大きな声だった。

 

 

「何やってんすか!!!!」

 

 

活字としては敬語だが、その口調、その声量、これはまさしく怒号という名の罵倒だった。

 

自分の力ではじめて手にしようとした栄光が、自分とはまったく関係のないところでその栄光から引きずり降ろされたのだから当然だ。

 

 

結果として、3本を検量できていればこの日の順位は2位だった。そして、りょうまはAOYの座につくはずだった。

 

しかし現実は2本検量。周囲はほとんど釣っていたため8組中の7位というブービー。

そして、りょうまは総合ランキング2位に落ちた…。

 

 

順位発表の間、閉会式の間、りょうまが私に視線を向けることはなかった。

毎週のように釣りに行ったあの深い絆は、あの蜜月の時間は、このたった一瞬の失態で全ては崩れ去った。

 

信用とは、わずかなことで崩れさるのである。

 

こうしてKNBレギュラーシーズンとペアトーナメントは幕を閉じた。

ペア第1戦では、ジョーカーkamo-winを引き当て、私の順位は急降下した。

この第2戦では、私自身がジョーカーだった。

 

ペア戦とは運頼みのスリリングな大会。

しかし、そのペア戦の「負の部分」を私がすべて背負ってしまった。ある意味美味しい存在として幕を閉じた。

 

 

この日以来「りまるおん」という私のハンドルネームは「ポロリおん」と蔑まれて呼ばれている。

 

 

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